音学シンポジウム2026(情報処理学会第160回SLP研究会)にて発表(M1学生4名,小川研学生1名[共著])
2026年6月5日から6日にかけて電気通信大学で開催された 音学シンポジウム2026(第146回MUS・第160回SLP合同研究発表会)において, 本研究室のM1学生4名と小川研究室(共同研究)のM2学生1名による研究発表が行われました.
高見陽斗,原直,
``環境音イベント検出における Variational Autoencoder を用いた入力音の適合度判定に関する検討,’'
情報処理学会技術研究報告, vol.2026-SLP-160 (2026-MUS-160), no.10, pp.1–6, June 2026.
— ポスター発表[2026.6.5], 音学シンポジウム2026, 2026.6.5--6. ※ディスカッションポスター
概要
本報告では,環境音イベント検出(Sound Event Detection: SED)において,評価時入力が学習時の音響分布にどの程度適合しているかを判定する方式を検討する.提案方式では,事前学習済みVariational Autoencoder(VAE)を用い,入力音声から推定される潜在分布と事前分布とのKLダイバージェンスに基づいて適合度を評価する.評価実験の結果,適合と判定されたデータは不適合データと比較してEvent F1が高い傾向を示し,KLダイバージェンスを用いた適合度判定がSED性能と一定の対応関係を持つことを確認した.さらに,KLダイバージェンスとFrame F1の関係を分析した結果,KLダイバージェンスが増加するほど性能の上限が低下する傾向が見られた一方で,KLダイバージェンスが小さいにもかかわらず性能が低いデータも存在し,KLダイバージェンスのみでは十分に判定できない場合があることを確認した.
木山大輔,原直,
``口唇映像を用いたマルチモーダル音声認識における構音障害者のための話者適応の検討,’'
情報処理学会技術研究報告, vol.2026-SLP-160 (2026-MUS-160), no.12, pp.1–7, June 2026.
— ポスター発表[2026.6.5], 音学シンポジウム2026, 2026.6.5--6
概要
本研究では,構音障害者の会話支援を目的として,日本語における特定話者の音声認識精度の向上を目指す.構音障害者の発声は健常者とは大きく異なり,発話が不明瞭となる傾向があるため,従来の音声認識技術では高精度な認識が困難である.そこで,口唇映像と音声の両モダリティを利用した視聴覚音声認識(Audio-Visual Speech Recognition:AVSR)に着目し,AV-HuBERTを基盤とした段階的ファインチューニング手法を提案する.さらに,ターゲット話者の学習データ量を変化させ,データによる話者適応の効果を検証する.本手法では,まず健常話者の日本語データを用いた言語適応,次に複数の構音障害話者による話者非依存適応,最後にターゲット話者による話者依存適応を行う.評価指標には音素誤り率(Phoneme Error Rate: PER)を用いる.実験の結果,AV-HuBERTが日本語への適応に成功していることが確認された.また,構音障害話者への適応評価では,提案方式が最も低いPERを示した.さらに,ターゲット話者の学習データは約50文で大きな性能改善が得られ,それ以上の増加による効果は限定的であった.これにより,少量データでの話者適応の有効性が示された.
藤本亮一,原直,
``雑談型音声対話システムにおける環境音を活用した対話応答の検討,’'
情報処理学会技術研究報告, vol.2026-SLP-160 (2026-MUS-160), no.78, pp.1–8, June 2026.
— ポスター発表[2026.6.6], 音学シンポジウム2026, 2026.6.5--6
概要
本報告では,雑談型音声対話システムにおける環境音を活用した応答生成について検討する.音声対話システムにおいて環境音は,音声認識の妨げとなる雑音の要因として抑制対象とされることが多いが,状況理解に有効な情報が含まれる.また,雑談対話システムには,ユーザの興味が時間経過とともに失われてしまう問題がある.環境音を活用した音声対話により,利用場面ごとに変化する対話応答が実現されるため,システムの定型な応答に変化が生まれ,ユーザの興味の低下を防げると考えられる.そこで本報告では,ユーザ発話時の環境音をPANNsで分析し,ユーザ発話をWhisperで音声認識した結果と組み合わせてGPT-4o miniにより応答を生成する方式を提案する.生成した応答は,MMDAgent-EXによって発話およびモーションの再生を行う.4名の参加者による比較実験を行った結果,提案方式は従来方式よりもユーザの楽しさや再利用の評価指標が向上した.一方で,環境音への言及が過剰になる傾向や質問数が減少することでシステム主導の対話になりやすいことが明らかになった.
篠田陸斗,原直,武本麻美,
``音響特徴量に基づくパーキンソン病患者の発話困難音素の特定に向けた検討,’'
情報処理学会技術研究報告, vol.2026-SLP-160 (2026-MUS-160), no.79, pp.1–6, June 2026.
— ポスター発表[2026.6.6], 音学シンポジウム2026, 2026.6.5--6. ※ディスカッションポスター
概要
パーキンソン病は運動症状に加え発話障害や嚥下障害を伴い,特に嚥下障害は誤嚥性肺炎に代表される重篤な合併症を引き起こす要因となる.しかし,その評価には医師による診察に加え,気管支鏡や嚥下造影検査など侵襲的な検査が必要であり,患者の負担が大きい.本研究は,発話困難な音素に着目した音声評価により,患者の負担を軽減した合併症評価の可能性を示すことを目的としている.その第一段階として,パーキンソン病患者の各重症度レベルにおける発話困難音素の特定に向けた分析内容について報告する.パーキンソン病患者4名と健常者5名の単語発話音声を収録し,openSMILEにより音響特徴量を抽出した.さらに,ランダムフォレストを用いて特徴量の重要度を算出し,重要特徴量に基づいて音素ごとの発話特性を分析した.その際,患者群と健常者群の特徴量平均の差を指標とし,健常者同士の差と比較することで評価を行った.その結果,重症度レベル3度では母音/u/および子音/g/,/n/,/h/,/sh/,レベル4度では母音/i/,/e/,子音/t/,/b/,/m/,/n/,/y/,/r/において,発話困難な状態になっている可能性が示唆された.
藤田康平,原直,小川厚徳,
``フレームレベル吃音検出における吃音特徴を効果的に捉えるモデル入力条件の検討,’'
情報処理学会技術研究報告, vol.2026-SLP-160 (2026-MUS-160), no.80, pp.1–6, June 2026.
— ポスター発表[2026.6.6], 音学シンポジウム2026, 2026.6.5--6. ※ディスカッションポスター
概要
本研究では吃音のある話者を対象とした音読支援システムの開発のための,フレームレベル吃音検出方式における最適なモデル入力条件について検討する.検出方式には,対数パワーによる閾値判定とBiLSTMによる分類モデルを用い,BiLSTMについては,モデルへ入力するクリップ長とフレーム長を変えて実験を行った.また,学習・評価に用いるデータセットには,中国語吃音データセットの1話者について,人手で詳細な症状発生区間をラベリングした強ラベルデータを使用した.結果として,クリップ長およびフレーム長を変えた場合でも吃音検出能力に大きな変化は見られないことが示された.また,吃音継続時間が0秒から4秒のサンプルの検出精度においてevent-based recallが0.28程度であることが示され,更なる検出方式の改善を要する結果となった.
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